旧字体⇔新字体 変換・早見表
常用漢字表に併記された康熙字典体386組を相互変換します。旧字体が三つある「弁」、別の字と同じ形になった「芸」、そして正規化を通すと新字体へ戻ってしまう68字に印を付けます。貼った文章を変換せずに検査して、送信先で消える字だけを名指しする向きもあります。
送信・保存を通したあと
上の変換後をそのまま Unicode 正規化(NFC)にかけると、この文になります。違っていれば、その字は貼った先で元に戻ります。
変換した字
正規化で変わる字
貼った文章を1字ずつ正規化して、形が変わる字だけを並べています。何文字目かは改行や空白も1字として数えた位置です。
正規化を通したあとの文
上が NFC、下が NFKC です。受け取る側がどちらを使うかで結果が変わります。
文章はこのページの中だけで処理します。どこにも送信しません。
使い方
文章を貼って向きを選び、変換するを押します。古い本や戸籍の写しを読むときは「旧字体 → 新字体」、今の文を昔の字で書き直したいときは逆を選びます。変換後の欄はそのままコピーできます。あわせて、変換した字の一覧と、そのまま使うと事故になる字が出ます。後者がこの道具の本体です。
表の範囲
扱うのは常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)の本表に括弧書きで併記された、いわゆる康熙字典体386組です。「亜(亞)」「国(國)」のように、常用漢字表そのものが対応を示している範囲に限っています。人名用漢字や、表に載らない異体字までは追いかけません。範囲を広げるほど、どちらの字を採るかを人の判断に委ねる場面が増え、機械で置き換えてよい対ではなくなるからです。
新字体から旧字体へは、機械では決められない字がある
「旧字体に直す」を一対一の置き換えだと思って書かれた道具は、次の三通りで静かに間違えます。この道具は間違えた結果を返す代わりに、どこが決められないのかを名指しします。
1. 一つの新字体に、旧字体が三つある
「弁」がその例です。常用漢字表は「弁(辨・瓣・辯)」と併記しています。もとは別の三字で、意味と読みが違いました。辨はわきまえる・処理するで、弁当や弁償がこれです。瓣は花びらや機械の弁を指し、花弁や安全弁がこれです。辯は話す・論じるで、弁護士や答弁がこれです。「弁」という形だけを見ても、どれに戻すべきかは決まりません。機械が一つを選べば、三つに二つは違う字になります。この道具は自動では変換せず、選ぶ欄を出します。
2. 新字体が、もともと別にあった字と同じ形になった
「芸」は藝の新字体ですが、「芸」という字は本来ウンと読む別の字で、芸香(うんこう)や芸亭(うんてい)がその用例です。同じことが缶(罐/フ)・台(臺)・余(餘)・予(豫)・体(體)・欠(缺)・糸(絲)でも起きています。「欠席」の欠は缺ですが、「欠伸(あくび)」の欠はもとから欠です。文の意味を読まないと決まらないので、この道具は変換したうえで印を付けます。
3. 変換したのに、貼った先で元に戻る
386組のうち68組は、旧字体の側が Unicode の「CJK互換漢字」という区画にあります。海・神・社・祝・都・器・難などがそれで、新字体とほとんど見分けが付きません。この区画の字は Unicode の正準分解が新字体そのものを指すように定められており、NFC 正規化を一度通すだけで新字体へ戻ります。
正規化は、投稿フォーム・データベース・検索の索引・ファイル名など、文字を受け取る側がふつうに行う処理です。つまり手元では旧字体に見えているのに、送信した先には新字体が保存されます。しかも字形の差が点一つぶんなので、戻ったことに気づけません。この道具は変換後の下に「正規化を通したあと」の文を並べて出すので、貼る前にどの字が消えるかを見られます。68字を最初から変換しない印も用意してあります。
この現象は机上の話ではありません。同じ常用漢字表から起こされた英語版の一覧と一字ずつ突き合わせたところ、共通する357字のうち62字で相手側の「旧字体」欄が新字体と同じ符号位置になっており、そのうち61字が上の68字に含まれていました。写した経路のどこかで正規化がかかり、旧字体が黙って消えたと読めます。表を作る側でさえ起きる事故です。
変換しないで検査する
向きの欄で「変換しないで検査する」を選ぶと、貼った文章を1字も直さずに、そのまま送信して大丈夫かどうかだけを見ます。よそから届いた名簿や、古い資料から起こした文章を、投稿フォームやデータベースへ渡す前の確認に使ってください。
この向きでは上の386組の表を引きません。1字ずつ実際に正規化して、形が変わったものを拾います。表を引かない理由は、事故が常用漢字表の中だけで起きるわけではないからです。CJK互換漢字の区画には472字が入っており、そのうち常用漢字表の康熙字典体にあたるのは68字にすぎません。人名や地名には、表の外の互換漢字が混じります。
見るのは次の3つです。
- NFC で変わる字 — 正準分解を持つ字です。互換漢字はここに入ります。いちばん穏やかな正規化でも別の字になるので、赤で出します。
- NFKC でだけ変わる字 — 全角の英数字、丸数字、㈱のような合字などです。NFC を使う経路では残り、NFKC を使う経路では潰れます。受け取る側がどちらを使うかで結果が変わるので、両方の全文を並べて出します。
- 異体字セレクタ — 字形を細かく指定する見えない符号です。正規化では消えませんが、落とす経路は多く、この道具の変換の向きも外します。何文字目にどの選択子が付いているかを出します。
仮名と濁点が1字に合成される場合など、隣り合う2字がまとまる変化は1字ずつの走査では説明が付きません。そこで文全体を正規化した結果とも突き合わせ、説明の付かない差が残ればその旨を出します。
旧字体から新字体へは、ほぼ安全
逆向きは事情が違います。辨・瓣・辯はどれも弁に集まるだけで、迷う場所がありません。互換漢字が混じった文を貼っても新字体に直ります。古い資料を読むために使うなら、こちらの向きを選んでください。異体字セレクタ(字形を細かく指定する見えない符号)が付いていた場合は外します。
注意点
- 常用漢字表の範囲外の字は変換しません。人名用漢字の旧字体や、表に載らない異体字は対象外です。
- 戸籍や登記の氏名を機械で直さないでください。渡辺・渡邊・渡邉は戸籍のうえでは別の表記で、直した時点で別人の名前になります。
- 康熙字典体は環境によって表示が変わります。字が四角や空白に見えるときは、その端末にその字を持つ書体が無いだけで、文字そのものは正しく入っています。
- 挿と闘は、写しによって康熙字典体の字が割れます(挿は揷と插、闘は鬪と鬭)。この道具は前者を採っています。変換すると画面にもその旨が出ます。
- この表は機械可読な写しから起こしたもので、告示の原典と一字ずつ突き合わせたわけではありません。互換漢字にあたる68組はUnicodeの規格書で1字ずつ裏取りしましたが、残りの318組について確かめたのは、独立した別の一覧との一致だけです。
386組の早見表
新字体の符号位置順です。◆は正規化で消える68字、▲は別の字と同じ形になった字です。